Azureを勉強しはじめて、最初につまずくのがここです。リージョン、可用性ゾーン、リージョンペア、リソースグループ、サブスクリプション、管理グループ——似たような言葉が一気に出てきて、どれが何の話なのか分からなくなります。
でも、整理のしかたは単純です。Azureの用語は「場所の話」と「入れ物の話」の2つに分かれます。この記事では、その2つに分けて、公式シラバスの2-1(7項目)を1つ残らず解説します。
- 場所の話=リージョン/データセンター/可用性ゾーン/リージョンペア/ソブリンリージョン。データがどこに置かれ、何が壊れたときに守られるかの話です。
- 入れ物の話=リソース/リソースグループ/サブスクリプション/管理グループ。誰が管理し、誰が払い、どのルールが効くかの話です。
- 階層は上から管理グループ → サブスクリプション → リソースグループ → リソース。上で決めたことは下に継承され、下では覆せません。
- 試験でいちばん狙われるのは「可用性ゾーンとリージョンペアの違い」です。同じリージョンの中か、離れたリージョンどうしかで区別します。

Azureは「場所」と「入れ物」でできている
Azureでリソース(仮想マシンなど)を作るとき、必ず2つのことを決めます。
- どこに置くか(リージョン)= 場所の話
- どのグループに入れるか(リソースグループ、サブスクリプション)= 入れ物の話
この2つはまったく別の軸です。ここを混ぜてしまうと用語が絡まります。「リソースグループは東日本にある」といった表現を見かけて混乱しがちですが、リソースグループは物理的な場所ではありません(詳しくは後述します)。
場所の話:リージョンとデータセンター
リージョンとは
リージョンは、Azureのサービスを提供している地理的な拠点です。「東日本」「西日本」「米国東部」のような単位で、リソースを作るときに必ず1つ選びます。
公式の説明はこうです。
「Azure リージョンは、1つ以上のデータセンターで構成され、高容量でフォールトトレラントで待ち時間の短いネットワーク接続によって接続されます。Azure データセンターは、通常、大都市圏内にあります。」
Azureは70を超えるリージョンを世界中に持っています。どこを選ぶかで、次の3つが変わります。
- 速さ:利用者に近いリージョンほど応答が速くなります
- 料金:同じサービスでもリージョンによって価格が違うことがあります
- 使えるサービス:すべてのサービスがすべてのリージョンにあるわけではありません
データセンターとは
データセンターは、サーバーが実際に置かれている建物です。電源設備、冷却設備、ネットワーク機器がそろった施設で、私たちが直接触ることはありません。
関係を整理すると、1つのリージョンの中に、1つ以上のデータセンターがあるという入れ子になっています。リージョンは「地図の上の点」、データセンターは「そこに建っている建物」だと考えてください。
地域(ジオグラフィ)とデータ所在地
リージョンのさらに上に、地域(ジオグラフィ)という区分があります。「日本」「米国」「ヨーロッパ」といった単位です。
公式は「すべてのリージョンは、固定データ所在地の境界として機能する単一の地域内に含まれます」と説明しています。つまり「データを国外に出さない」という要件は、地域とリージョンの選択で守るということです。
「個人情報は日本国内に置くこと」といった要件がある場合、まず確認するのはどのリージョンにデプロイするかです。なお公式は「各地域には、可用性ゾーンを備えた少なくとも1つのリージョンがあります」とも説明しています。
止まらないための2つの備え
クラウドでも、機械は壊れますし、災害も起きます。Azureには壊れる範囲の大きさに応じた2つの備えがあります。ここが試験の最頻出ポイントです。
可用性ゾーン:同じリージョンの中で分ける
可用性ゾーンは、1つのリージョンの内部にある、物理的に離れた場所のことです。公式の説明を見てください。
「多くのAzureリージョンには、可用性ゾーンが用意されています。これは、リージョン内のデータセンターのグループで区切られます。それぞれの可用性ゾーンには、独立した電源、冷却装置、ネットワークインフラストラクチャがあるため、あるゾーンで障害が発生しても、リージョンサービス、容量、高可用性が残りのゾーンでサポートされます。」
ポイントは「独立した電源・冷却・ネットワーク」です。停電しても、1つのゾーンだけで済みます。同じ建物の中で分けているのではなく、別々の設備として切り離されているということです。
公式は、可用性ゾーンが守ってくれる範囲についてもこう補足しています。
「可用性ゾーンは、ゾーン全体に影響を与える大規模な停止から保護するだけではありません。また、ゾーン内のサーバーラックやクラスターの障害など、スコープが小さい障害に対する回復性も提供されます。」
つまり大きな停電にも、小さなラック故障にも効くということです。
可用性ゾーンは「あるリージョンを選べば自動的に守られる」ものではありません。公式は「複数のゾーンを自動的に使用するAzureサービスもあれば、複数ゾーンのデプロイを構成する必要があるサービスもあります」と説明しています。サービスによっては自分で複数ゾーンに配置する設定が必要です。
リージョンペア:離れたリージョンどうしを組にする
リージョンペアは、離れた2つのリージョンをMicrosoftがあらかじめ組にしたものです。リージョン全体をおそうような大きな災害に備えるための考え方で、geoレプリケーション(別リージョンへの複製)やディザスターリカバリーに使われます。
公式には、日本語の教材があまり書いていない大事な記述が2つあります。
- 「独自のペアを選択することはできません」——ペアの組み合わせはMicrosoftが決めています。自分で「このリージョンと組にする」とは指定できません。
- 「新しいリージョンの多くはペアではなく、代わりに可用性ゾーンを冗長性の主要な手段として使用します」——すべてのリージョンにペアがあるわけではありません。
「Azureのリージョンは必ずペアになっている」と書いてある教材を見かけたら、それは現在の公式説明とはずれています。
【比較】可用性ゾーンとリージョンペア、どちらがどちら

試験でこの2つが並んだら、「どこまで離れているか」で判断してください。
| 観点 | 可用性ゾーン | リージョンペア |
|---|---|---|
| 範囲 | 1つのリージョンの中 | 離れたリージョンどうし |
| 備える相手 | 建物・ラック・設備の障害 | 地域全体をおそう災害 |
| 組み合わせ | 利用者がどのゾーンに置くかを構成する | Microsoftが決める(自分で選べない) |
| すべてのリージョンにある? | 多くのリージョンにある | ペアがないリージョンもある |
| 通信の速さ | 近いので速い | 遠いぶん待ち時間が長い |
問題文に「同じリージョン内で」とあれば可用性ゾーン、「地理的に離れた」「リージョン全体の障害」とあればリージョンペアです。
ソブリンリージョン:一般とは切り離された特別なAzure
ソブリンリージョン(ソブリンクラウド)は、データ所在地の規制がとくに厳しい顧客のために、通常のAzureとは分けて運用されているリージョンです。代表例が、米国政府向けの Azure Government と、中国で 21Vianet が運用する Microsoft Azure です。
公式の説明:「一部のリージョンはソブリンクラウドの地理区分に属します。データ所在地の規制が厳しい特定の地域のお客様は、これらのリージョンにアクセスできます。ソブリンクラウドリージョンは他のリージョンと同じように動作しますが、多くの場合、サービスと機能は限られています。」
試験対策としては、「一般には使えない、特定の顧客向けに分離されたAzure」「使えるサービスが限られる」という2点を押さえれば十分です。日本から普通に契約して使うことはありません。
入れ物の話:4つの階層
ここからは「誰が管理し、誰が払い、どのルールが効くか」の話です。Azureは4段の入れ子になっています。
リソース:Azureで作るもの、そのもの
リソースは、Azureで作る個々の実体です。仮想マシン1台、ストレージアカウント1つ、仮想ネットワーク1つ——これらがすべてリソースです。Azureで作るものはすべてリソースだと考えて構いません。
リソースグループ:まとめて作り、まとめて消す入れ物
リソースグループは、リソースをまとめる論理的な入れ物です。フォルダのようなものだと考えてください。
押さえるべき性質は4つです。
- 1つのリソースが所属できるリソースグループは、1つだけです(あとから別のグループへ移動はできます)
- リソースグループを削除すると、中のリソースもすべて削除されます
- リソースグループの中に、別のリソースグループを入れることはできません(入れ子にできない)
- リソースグループにも場所(リージョン)の設定がありますが、これはグループの管理情報を置く場所で、中のリソースが必ずそのリージョンにある、という意味ではありません
リソースグループは「一緒に作って、一緒に消すもの」でまとめると効果的です。たとえば「検証用の一式」を1つのリソースグループにしておけば、検証が終わったらグループごと削除して片付けられます。消し忘れによるムダな課金を防げます。
サブスクリプション:課金と上限の単位
サブスクリプションは、Azureを使うための契約の単位です。ここが押さえどころです。
- 請求はサブスクリプション単位で行われます。「部門ごとに請求を分けたい」ならサブスクリプションを分ける、という発想になります
- 使用量の上限(クォータ)もサブスクリプション単位です。1つのサブスクリプションで作れるリソースの数には上限があります
- 1つのサブスクリプションの中に、複数のリソースグループを作れます
管理グループ:サブスクリプションをまとめる
サブスクリプションが増えてくると、1つずつ設定するのが現実的でなくなります。そこで登場するのが管理グループです。
公式はこう説明しています。
「サブスクリプションを管理グループにまとめると、適用するガバナンス条件は関連付けられているすべてのサブスクリプションへの継承によりカスケード表示されます。」
「(管理グループで適用したポリシーは)リソースまたはサブスクリプションの所有者は、このセキュリティポリシーを変更することはできません。」
2つめの記述が重要です。上位で決めたルールは、下位の所有者であっても覆せません。これがガバナンスの効き目です。
アクセス権についても同じです。公式は「管理グループの下に複数のサブスクリプションを移動することで、管理グループに1つのAzureロールの割り当てを作成できます。ロールは、そのアクセスをすべてのサブスクリプションに継承します」と説明しています。1回の設定で全体に効かせられる、ということです。
上から下へ「継承」される
4つの階層は、上から順にこうなっています。
| 階層 | 何をまとめるか | 代表的な用途 |
|---|---|---|
| 管理グループ | サブスクリプション | 組織全体に共通ルールを効かせる |
| サブスクリプション | リソースグループ | 課金を分ける/上限を管理する |
| リソースグループ | リソース | まとめて作り、まとめて消す |
| リソース | — | 仮想マシン、ストレージなどの実体 |
上の階層で設定したことは、下の階層すべてに引き継がれます(継承)。アクセス権(RBAC)もポリシー(Azure Policy)もロックも、この性質を使っています。逆に言えば、どの階層に設定するかで、効く範囲が決まるということです。
試験ではこう問われる
AZ-900の出題範囲は「〜について説明する」で書かれているので、用語を知っているかではなく、見分けられるかが問われます。この単元で狙われやすいのは次の点です。
| 問われ方 | 判断のしかた |
|---|---|
| 可用性ゾーンとリージョンペアの区別 | 同じリージョンの中か、離れたリージョンどうしか |
| 「ペアは自分で選べるか」 | 選べない(Microsoftが決める) |
| 「すべてのリージョンにペアがあるか」 | ない(新しいリージョンの多くはペアを持たない) |
| リソースは複数のリソースグループに入るか | 入らない(所属できるのは1つだけ) |
| リソースグループを消したらどうなるか | 中のリソースもすべて消える |
| 階層の順番 | 管理グループ → サブスクリプション → リソースグループ → リソース |
| 「サブスクリプションの所有者はポリシーを変更できるか」 | 上位の管理グループで適用されたものは変更できない |
| データを国内に置く要件 | リージョン(と地域)の選択で守る |
この分野では「必ず」「すべて」「常に」を含む文がよく出てきます。たとえば「すべてのリージョンにはリージョンペアがある」は誤りです。断定表現が出てきたら、例外がないかを考えてください。
確認クイズ
読んだ直後に4問だけ。選ぶとその場で正誤と解説が出ます。
「データは日本国内に置くこと」という要件があります。リソースを作成するときに、まず確認すべきことはどれですか。
1つ選んでください
可用性ゾーンとリージョンペアについて、次の各文が正しいかどうかを判定してください。
各文について「はい」か「いいえ」を選んでください(文ごとに1点)
1. 可用性ゾーンは、1つのリージョンの内部にある。
2. リージョンペアの組み合わせは、利用者が自由に選ぶことができる。
3. 新しく追加されたリージョンには、必ずリージョンペアが用意されている。
検証のために作った仮想マシン・ストレージ・ネットワークを、検証が終わったらまとめて片付けたいと考えています。最も手軽な方法はどれですか。
1つ選んでください
社内に10個のサブスクリプションがあります。そのすべてに同じセキュリティのルールを一度に適用し、各サブスクリプションの所有者が勝手に変更できないようにしたい。適した方法はどれですか。
1つ選んでください
まとめ
- Azureの用語は「場所の話」と「入れ物の話」に分けると絡まりません
- リージョン=1つ以上のデータセンターで構成された地理的な拠点。地域(ジオグラフィ)がデータ所在地の境界
- 可用性ゾーン=同じリージョンの中の、電源・冷却・ネットワークが独立した場所
- リージョンペア=離れたリージョンどうしの組。自分では選べず、ペアがないリージョンもある
- ソブリンリージョン=規制の厳しい顧客向けに分離されたAzure。使えるサービスは限られる
- 階層は管理グループ → サブスクリプション → リソースグループ → リソース。上で決めたことは下で覆せない
- リソースが入れるリソースグループは1つだけ。グループを消すと中身も消える
※本記事は、Microsoft公式のAZ-900学習ガイド(2026年7月20日現在のスキル)および Microsoft Learn の「Azure リージョンとは」「可用性ゾーンとは」「Azure 管理グループとは」の記載(いずれも2026年8月6日確認)にもとづき、エンジニアKが作成しています。引用は公式の日本語表記のままです。仕様は変更されることがあります。最新情報は必ずMicrosoft公式サイトでご確認ください。本サイトはMicrosoft Corporationの公式サイトではありません。Microsoft、Azure、Microsoft Entra ID等は同社の商標です。

