「AZ-900って、どのくらい難しいの?」——申し込む前にいちばん知りたいのはここだと思います。ところが検索すると「〇時間で受かる」「正答率70%で合格」といった数字がたくさん出てきて、どれが本当か分かりません。
この記事では、Microsoftが公式に公表していることと、公表していないことをはっきり分けて整理します。そのうえで、他人の平均時間より確実な「自分の場合の見積もり方」をお伝えします。
- AZ-900は初級(Fundamentals)レベルで、前提となる資格はありません。
- 合格ライン700点は「70%正解」という意味ではありません。公式が「スケーリングされたスコアであるため、点数の70%とは等しくない場合があります」と明記しています。
- 合格率・問題数は公式に公表されていません。ネット上の数字は公式の情報ではありません。
- 公式の無料トレーニングは、Microsoftの表示で合計5時間5分。ただしこれは読み通す時間であって、覚える時間ではありません。
- 難しさの正体は暗記量ではなく、「似たもの同士の違いが言えるか」です。
難易度のレベル:初級・前提資格なし
公式の認定資格ページで、AZ-900のレベルは「初級」と示されています。Microsoftの認定資格は、レベルの低いほうから基礎(Fundamentals)→ アソシエイト → エキスパートと並んでおり、AZ-900はその一番下、「Azureのキャリアに向けた一般的な出発点」と位置づけられています。
受験に必要な前提資格はありません。誰でも申し込めます。
ただし公式は、受験者像として次のようにも書いています。
「この試験の受験者は、クラウドの概念全般、特に Microsoft Azure に関する基本的な知識の実証を望むテクノロジの専門家です。」
「次のような IT 分野でのスキルと経験が必要です:インフラストラクチャの管理/データベースの管理/ソフトウェア開発。」
ここは正直に受け止めたほうがいいところです。ITの仕事をしている人向けに書かれた試験であり、「誰でも簡単に受かる」という意味の入門ではありません。とはいえ手を動かす実技はなく、問われるのは用語と役割の理解なので、未経験でも対策は十分に可能です。未経験の方は「知らない用語をひとつずつ潰す」作業が、経験者より多く必要になると考えてください。
合格ライン700点は「70%正解」ではありません
ここがAZ-900でいちばん誤解されている点です。Microsoft公式の「試験スコアとスコアレポート」に、こう書かれています。
「すべての技術試験のスコアは 1 から 1,000 のスケールで報告されます。合格スコアは 700 以上です。これはスケーリングされたスコアであるため、点数の 70% とは等しくない場合があります。合格スコアは、能力を証明するために必要な知識とスキル、および問題の難易度によって決まります。」
かみくだくと、こういうことです。
- 点数は1〜1000に変換された値で、正解した問題の割合とは別物です
- 問題ごとの難易度が考慮されます。難しい問題に正解したほうが、やさしい問題に正解するより有利になりえます
- したがって「40問中28問正解で合格」のような逆算はできません
実際、公式はスコアレポートについても「グラフは、あるセクションまたはその試験全体で正解した問題の数を計算するために使用することはできません」と明記しています。正答数から合否を計算する方法は、公式には用意されていません。
「7割取れれば受かる」という目標設定はやめたほうが安全です。8割以上を安定して取れる状態を目標にすると、スケールドスコアの上下に振り回されずに済みます。
採点のしくみで、知っておくと得すること
同じ公式ページに、点の入り方についても説明があります。これを知っているかどうかで、当日の解き方が変わります。
① 部分点がある
「複数のパートで構成されるほとんどの問題に回答すると、正解したコンポーネントごとに1点が付与されます。その問題で獲得可能な点数のすべて、または一部を獲得できることもあれば、まったく獲得できないこともあります。1点を超える点数に相当する問題には、問題にその旨が示されます。」
つまり、1つの設問に複数の判断が含まれている形式では、当たった分だけ点が入ります。「3つのうち1つは自信がないから設問ごと捨てる」という考え方は損です。分かる部分は確実に取りにいってください。
② 間違えても減点されない
「推測による解答に対するペナルティはありません。間違った答えを選択しても、単にその問題またはパートの点数を獲得できないだけです。誤答してもポイントが引かれることはありません。」
ですから空欄は1つも作らないでください。分からなければ選ぶ。それだけで期待値が上がります。
③ 採点されない問題が混ざっている
「試験の問題の一部が、スコアに加算されない場合があります。これらの問題は、各試験を更新および品質を向上させるためのデータを収集するために使用されます。…どの問題が採点されないかは分からないため、すべての問題を採点対象に含まれるものとして解答する必要があります。」
見慣れない問題が出ても動揺しないでください。採点対象外の試験用の問題かもしれません。時間を溶かさず、印を付けて先に進むのが正解です。
合格率・問題数は公表されていません
Microsoftは試験ごとの合格率も、問題数も公表していません。出題形式についても、公式にこう書かれています。
「試験のセキュリティと認定資格の価値を保護するために、特定の試験形式や質問の種類を試験前に特定することはありません。」
ですから「AZ-900は全40問」「合格率は◯%」といった数字を見かけても、それは公式の情報ではありません。当サイトでは、確認できない数字は掲載しません。
いっぽうで試験時間は公式に分かります。基礎試験は試験45分・着席65分です。当日の流れは 申し込み方法と当日の時間の使い方 にまとめました。
勉強時間はどれくらい?——公式の数字はこれだけ
Microsoftは「合格に必要な勉強時間」を公表していません。必要な時間は前提知識で何倍も変わるので、当サイトでも「◯時間で受かります」とは書きません。
ただし、客観的な数字が1つだけあります。公式の無料トレーニング(Microsoft Learnのラーニングパス)に、Microsoft自身が所要時間を表示しています。
| 公式ラーニングパス | 所要時間 | モジュール数 |
|---|---|---|
| クラウド インフラストラクチャの概要:クラウドの概念について説明する | 56分 | 3 |
| 同:Azure のアーキテクチャとサービスについて説明する | 2時間48分 | 5 |
| 同:Azure の管理とガバナンスについて説明する | 1時間21分 | 4 |
| 合計 | 5時間5分 | 12 |
2026年8月6日に、Microsoft公式の Azure Fundamentals 認定資格ページで確認。
この5時間5分は「読み通すのにかかる時間」であって「覚えるのにかかる時間」ではありません。1周読んだだけで用語が定着する人はまずいません。実際に必要なのは、この数倍と考えてください。
他人の平均より確実な、自分用の見積もり方
「未経験なら◯時間」という平均値は、あなたの前提知識を知りません。もっと確実な方法があります。
- 出題範囲の57項目をひととおり眺める
- 意味を説明できない用語がいくつあるか数える(リージョンペア、可用性ゾーン、LRS、RBAC、Azure Policy…)
- 1つあたり15〜30分(読む+自分の言葉で説明できるようにする)を掛ける
- そこに演習と復習の時間を上乗せする
知らない用語が10個なら数時間ですが、40個あるなら20時間前後は見ておくことになります。この数え方なら、自分の状況に合った見積もりになります。
AZ-900が「難しい」と感じる本当の理由
覚える量が多いから難しいのではありません。「似ているものの違い」を問われるからです。
公式の出題範囲を読むと、項目の語尾がすべて「〜について説明する」「〜を識別する」「〜を比較する」で統一されているのが分かります。用語を知っているだけでは足りず、どちらがどちらか言えるかが問われる作りになっています。
実際、つまずきやすいのはこういう組み合わせです。
| 混同しやすい組み合わせ | 問われ方の例 |
|---|---|
| リージョンペア と 可用性ゾーン | どちらが「離れた場所」で、どちらが「同じリージョンの中」か |
| LRS・ZRS・GRS(冗長性) | データのコピーがどこまで離れるか、どれを選ぶべきか |
| Azure Policy と リソースロック と RBAC | 「作らせない」「消させない」「触らせない」のどれを担当するか |
| Azure Advisor と Service Health と Azure Monitor | 「提案」「Azure側の障害」「自分のリソースの状態」の担当分け |
| IaaS・PaaS・SaaS | 要件を読んで、責任範囲がどこまでかを判断できるか |
ですから対策は「用語集を丸暗記する」ではなく「隣り合う用語と並べて違いを説明する」が正解になります。当サイトの解説記事は、各テーマに必ず比較の章を置いています。
古い教材に注意:名前が変わっているものがあります
AZ-900は長く続いている試験なので、市販の本やブログにも古い情報が残っています。いちばん影響が大きいのがサービス名の変更です。
いちばん有名なのが、Azure Active Directory(Azure AD)です。これは現在 Microsoft Entra ID という名前に変わっており、公式の出題範囲(2026年7月20日改訂版)でも新しい名前で書かれています。旧名称のまま説明している教材は、その時点で更新が止まっていると考えたほうが安全です。手元の本が旧名称でも、書いてある内容そのものは概ね通用しますが、試験の画面に出てくるのは新しい名前だと覚えておいてください。
詳しくは 出題範囲まとめ(2026年7月改訂版) で、現行の表記のまま一覧にしています。
よくある質問
Q. 未経験でも合格できますか?
A. 前提資格は不要で、実技もありません。用語と役割を理解できれば合格できます。ただし公式が想定している受験者像はIT分野の経験がある人なので、未経験の方は「知らない用語を潰す」時間を多めに見てください。
Q. 何割取れば合格ですか?
A. 「何割」では決まりません。1000点満点で700点以上が合格ですが、公式が「スケーリングされたスコアであるため、点数の70%とは等しくない場合があります」と明記しています。正答数から逆算する方法は公式には存在しません。
Q. 何時間くらい勉強すればいいですか?
A. 公式は勉強時間を公表していません。客観的な数字は公式トレーニングの表示時間の合計5時間5分だけで、これは読み通す時間です。出題範囲を見て、知らない用語の数を数えるのがいちばん確実な見積もり方です。
Q. 合格率はどのくらいですか?
A. 公表されていません。ネット上で見かける合格率は公式の数字ではありません。
Q. 分からない問題は空欄にすべきですか?
A. いいえ、必ず埋めてください。公式が「推測による解答に対するペナルティはありません。誤答してもポイントが引かれることはありません」と明記しています。
Q. 見たことのない形式の問題が出たらどうすればいいですか?
A. あわてず、印を付けて先に進んでください。公式は「試験の問題の一部が、スコアに加算されない場合があります」と説明しており、品質評価のための採点対象外の問題が混ざっている可能性があります。1問に時間を溶かすほうが損です。
まとめ
- AZ-900は初級レベル・前提資格なし。実技はなく、用語と役割の理解が問われます
- 700点は「70%正解」ではありません。スケールドスコアなので正答数から逆算できません
- 部分点があり、誤答の減点はありません。分かる部分は取りにいき、空欄は作らないこと
- 合格率・問題数は非公表。試験時間は45分(着席65分)
- 勉強時間は「知らない用語の数 × 15〜30分 + 演習」で見積もるのが確実です
- 難しさの正体は暗記量ではなく「似たもの同士の違いが言えるか」
※本記事は、Microsoft公式の「試験スコアとスコアレポート」「試験期間と試験エクスペリエンス」、および Azure Fundamentals 認定資格ページ・学習ガイドの記載(いずれも2026年8月6日確認)にもとづき、エンジニアKが作成しています。試験の仕様は変更されることがあります。最新情報は必ずMicrosoft公式サイトでご確認ください。本サイトはMicrosoft Corporationの公式サイトではありません。Microsoft、Azure、Microsoft Entra ID等は同社の商標です。

