ストレージはAZ-900でいちばん「数字と略語」が出てくる単元です。LRS、ZRS、GRS……。ただ、これらはすべて「どこまで離してコピーを置くか」という1つの軸に並んでいます。そこさえつかめば混乱しません。
- 冗長性は「どこまで離すか」の一直線。LRS(同じデータセンター)→ ZRS(同じリージョンの別ゾーン)→ GRS(別のリージョン)→ GZRS(両方)。
- アクセス層は「保存の安さ」と「取り出しやすさ」のトレードオフ。安い層ほど最低保存期間が長く、取り出しに費用と時間がかかります。
- アーカイブ層はオフラインで、すぐには読み取れません。
- 移行の道具は量で選ぶ。ネットワークで無理な量ならAzure Data Box(物理的に送る)。
Azure Storage の4つのサービス
Azure Storageは1つのサービスではなく、用途の違う入れ物の集まりです。
| サービス | 何を入れるか | 使いどころ |
|---|---|---|
| Blob Storage | あらゆる形式のファイル(非構造化データ) | 画像、動画、バックアップ、ログ |
| Azure Files | ファイル共有 | 複数のサーバーやPCから同じフォルダーを共有したいとき |
| Queue Storage | メッセージ | 処理の依頼を順番待ちさせたいとき |
| Table Storage | キーと値の表形式データ | 単純な構造のデータを大量に保存したいとき |
このほか、仮想マシンにつなぐディスク(マネージドディスク)もストレージの仲間です。
Blob と Files の違いがよく問われます。Blob=アプリからプログラムで読み書きする置き場、Files=ネットワークドライブのようにマウントして使う共有フォルダー。「エクスプローラーからドライブとして開きたい」ならAzure Filesです。
ストレージアカウント:すべての入れ物の親
上の4つは、ストレージアカウントという1つの入れ物の中に作られます。公式は「ストレージ アカウントは、BLOB コンテナー、ファイル共有、テーブル、キューなどのストレージ リソースをデプロイするために使用できるストレージの共有プールを表します」と説明しています。
公式は「ストレージ アカウントの冗長性設定は、そのアカウントによって公開されるすべてのストレージ サービスで共有されます」と明記しています。つまり冗長性はストレージアカウント単位で、同じアカウントの中でBlobだけGRS、Filesだけ LRS といった分け方はできません。違う冗長性が必要なら、アカウントを分けます。
アクセス層:使う頻度で置き場所を変える
データには「毎日使うもの」と「何年も触らないが消せないもの」があります。同じ料金で保存するのはもったいないので、Azureにはアクセス層という仕組みがあります。
| 層 | 向いているデータ | 最低保存期間 | 取り出し |
|---|---|---|---|
| ホット | 頻繁に読み書きする | — | すぐ |
| クール | アクセス頻度が低い | 30日 | すぐ |
| コールド | めったにアクセスしない | 90日 | すぐ |
| アーカイブ | ほぼ触らない長期保存 | 180日 | 数時間かかる(オフライン) |
※ 最低保存期間・オフラインの扱いは、いずれもMicrosoft公式「BLOB データに関するアクセス層」の記載によります。
公式の説明では、ホット層は「ストレージ コストが最も高く、アクセス コストは最も安い」。逆に安い層ほど、取り出すときの費用が高くなります。保存料と取り出し料が逆方向に動くのがポイントです。
「安いから全部アーカイブにする」は失敗します。アーカイブ層は公式にオフライン層と書かれており、読み取れる状態に戻すのに数時間かかります。さらに最低180日の保存期間があるため、早く消すと違約金のように費用が発生します。
なお、使用パターンに応じて自動的に層を移してくれるスマート層も用意されています。
冗長性:コピーをどこまで離して置くか

ここがストレージの最頻出ポイントです。4つは一直線に並んでいます。
| 略語 | 正式名 | コピーを置く場所 | 耐えられる障害 |
|---|---|---|---|
| LRS | ローカル冗長ストレージ | 同じデータセンターの中 | ドライブ・サーバー・ラックの故障 |
| ZRS | ゾーン冗長ストレージ | 同じリージョンの3つ以上の可用性ゾーン | データセンター1棟の障害 |
| GRS | geo冗長ストレージ | 離れた別のリージョンにも | リージョン全体の災害 |
| GZRS | geoゾーン冗長ストレージ | ゾーンにも別リージョンにも | 両方 |
公式はLRSについて「LRSは、ドライブ、サーバー、ラックの障害からデータを保護します。ただし、データセンター内で火災や洪水などの災害が発生した場合、LRSを使用するストレージ アカウントのすべてのレプリカが失われたり、回復不能になる可能性があります」と説明しています。LRSは一番安く、一番弱いということです。
また、GRSやGZRSには読み取りアクセス付き(RA-GRS、RA-GZRS)という選択肢もあります。複製先のデータを読み取り専用で参照できるようになるものです。
ファイルを動かす道具
データをAzureへ持っていく方法はいくつかあり、量と目的で選びます。
| 道具 | 何をするもの | 向いている場面 |
|---|---|---|
| AzCopy | コマンドでコピーする | スクリプトで自動化したい/ある程度の量をネットワーク経由で |
| Azure Storage Explorer | 画面で操作するアプリ | 中身を見ながら手で操作したい |
| Azure File Sync | オンプレミスのWindows ServerとAzureのファイル共有を同期し続ける | 手元にも置きつつクラウドにも持ちたい |
まとめて移行する:Azure Migrate と Azure Data Box
| サービス | 何をするもの |
|---|---|
| Azure Migrate | オンプレミスのサーバーやデータベースを評価してから移行するための総合ツール |
| Azure Data Box | 物理的な装置にデータを入れて送り、Azure側で取り込む |
問題文に「数十テラバイト」「ネットワークでは時間がかかりすぎる」「回線が細い」といった言葉があればAzure Data Boxです。ネットワークを使わずに運ぶ、というのが唯一の特徴なので見分けやすい問題になります。
【比較】まぎらわしいところ
| 紛らわしい組み合わせ | 違い |
|---|---|
| Blob と Azure Files | プログラムから読み書きする置き場か、マウントして使う共有フォルダーか |
| ZRS と GRS | 同じリージョンの中か、別のリージョンか |
| クール と アーカイブ | すぐ読めるか、数時間かかるか(オフライン) |
| AzCopy と Data Box | ネットワーク経由か、物理的に送るか |
| Azure Migrate と Azure File Sync | 移行するのか、移したあとも同期し続けるのか |
試験ではこう問われる
| 問われ方 | 判断のしかた |
|---|---|
| 「リージョン全体の災害に備える」 | GRS(またはGZRS) |
| 「同じリージョン内で高可用性」 | ZRS |
| 「いちばん安い冗長性」 | LRS |
| 冗長性はサービスごとに変えられるか | 変えられない(ストレージアカウント単位) |
| アーカイブ層はすぐ読めるか | 読めない(数時間かかる) |
| アクセス層は変更できるか | できる |
| 「ネットワークでは無理な量を移す」 | Azure Data Box |
| 「ドライブとしてマウントしたい」 | Azure Files |
確認クイズ
読んだ直後に3問だけ。
Azure Storage のアクセス層について、次の各文が正しいかどうかを判定してください。
各文について「はい」か「いいえ」を選んでください(文ごとに1点)
1. クール層に保存したデータには、最低限の保存期間が定められている。
2. アーカイブ層のデータは、ホット層と同じようにすぐ読み取れる。
3. アクセス層は、あとから変更することができる。
ストレージアカウントのデータを、リージョン全体をおそう災害から守りたい。最低限どの冗長性オプションが必要ですか。
1つ選んでください
オンプレミスにある数十テラバイトのデータをAzureへ移したいのですが、ネットワーク経由では時間がかかりすぎます。適した方法はどれですか。
1つ選んでください
まとめ
- Azure StorageはBlob/Files/Queue/Table(+ディスク)。すべてストレージアカウントの中に作る
- 冗長性はストレージアカウント単位。LRS → ZRS → GRS → GZRS の順に守れる範囲が広がり、料金も上がる
- アクセス層はホット/クール(30日)/コールド(90日)/アーカイブ(180日)。アーカイブはオフラインで数時間かかる
- 移行は量で選ぶ。ネットワークで無理ならData Box、評価から始めるならAzure Migrate、同期し続けるならAzure File Sync
※本記事は、Microsoft公式のAZ-900学習ガイド(2026年7月20日現在のスキル)および Microsoft Learn の各サービス公式ドキュメントの記載(2026年8月6日確認)にもとづき、エンジニアKが作成しています。引用は公式の日本語表記のままです。仕様は変更されることがあります。最新情報は必ずMicrosoft公式サイトでご確認ください。本サイトはMicrosoft Corporationの公式サイトではありません。Microsoft、Azure、Microsoft Entra ID等は同社の商標です。

