AZ-900の出発点にあたる単元です。ここはAzureに限らないクラウド全般の考え方で、他社のクラウドでも通用します。配点はドメイン1全体で25〜30%と3つの中では最も軽いのですが、ここが分かっていないと後の単元がすべて曖昧になります。
- クラウドは「必要なときに、必要なだけ、他人の設備を借りる」しくみ。支出が設備投資(CapEx)から運用費(OpEx)へ変わります。
- 共同責任モデルの要点は「何が移り、何が移らないか」。データとアカウント管理は、どのモデルでも常に利用者の責任です。
- クラウドの形はパブリック/プライベート/ハイブリッドの3つ。
- サーバーレスは「サーバーが無い」ではありません。「サーバーを意識しなくてよい」という意味です。
クラウドコンピューティングとは
クラウドコンピューティングとは、インターネット越しに、コンピューターの資源(計算する力・保存する場所・ネットワーク)を借りて使うことです。
これまでは、システムを動かすには自分でサーバーを買って、置き場所を用意して、電源とネットワークをつないでいました。これがオンプレミスです。クラウドではその部分を事業者が持っていて、使いたい分だけ借りる形になります。
車を買うのがオンプレミス、カーシェアを使うのがクラウドです。買えば自由に使えますが、駐車場も車検も自分持ち。カーシェアなら乗った分だけ払えばよく、整備も相手がやってくれます。そのかわり、車種を自由に改造することはできません。
共同責任モデル:どこまでが自分の責任か
クラウドを使うと、管理の責任が利用者と事業者で分かれます。これが共同責任モデルです。
ここでいちばん大事なのは、「共同責任」は責任を半分ずつ持つという意味ではないということです。層ごとに担当が分かれるという意味です。
| 常にプロバイダーの責任 | 常に利用者の責任 |
|---|---|
| 物理データセンター 物理ネットワーク 物理ホスト |
データと情報 アカウントとアクセス管理 デバイス |
データの保護は、クラウドに預けても利用者の責任のままです。「クラウドに置いたのだからMicrosoftが守ってくれる」は誤りです。同じくアカウントとアクセス管理も常に利用者側。ここは「はい/いいえ」形式でよく問われます。
その間にある層(OS、ミドルウェア、アプリケーション)は、IaaS・PaaS・SaaSのどれを使うかで担当が動きます。詳しくは IaaS・PaaS・SaaSの違い にまとめました。
クラウドの3つのかたち

| モデル | 誰のものか | 向いている場面 |
|---|---|---|
| パブリッククラウド | 事業者が所有し、多数の利用者が共有 | 初期費用をかけずに始めたい/必要な量が読めない |
| プライベートクラウド | 特定の組織が専有 | 規制が厳しい/自分たちで細かく決めたい |
| ハイブリッドクラウド | 両方を組み合わせる | 機微なデータは手元に置き、増えた処理はクラウドへ |
プライベートクラウドとオンプレミスは同じではありません。オンプレミスは単に「自社で持っているサーバー」。プライベートクラウドはクラウドのしくみ(必要なときに払い出す、使った分を計測する)を、専有の環境で実現したものです。
これらに加えて、複数の事業者のパブリッククラウドを併用する形をマルチクラウドと呼びます。
従量課金:使った分だけ払う
従量課金(consumption-based)は、実際に使用した分に対して料金が発生する考え方です。電気やガスの料金と同じ発想です。
これによって、支出の性質が変わります。
| オンプレミス | クラウド(従量課金) | |
|---|---|---|
| 支出の種類 | 設備投資(CapEx) | 運用費(OpEx) |
| 払うタイミング | 先にまとめて | 使った後に、使った分だけ |
| 使わなかったら | 買った費用は戻らない | 止めれば止まる |
ほかの価格モデル
従量課金以外にも選択肢があります。「長く使うと約束すると安くなる」のが基本の考え方です。
- 予約(リザーブド):1年・3年といった期間を約束することで、単価が下がります
- スポット:Azureの空いている容量を安く使う代わりに、途中で回収されることがあります。中断されても困らない処理向けです
※ 具体的な割引率や条件はサービス・時期によって変わります。実際の金額は料金計算ツールと申し込み画面でご確認ください。
サーバーレス:サーバーを意識しない
サーバーレスは、名前の印象と実態がずれている用語の代表です。
サーバーレスは「サーバーが存在しない」という意味ではありません。サーバーは存在しますが、利用者が用意も管理もしなくてよいという意味です。台数を考える必要も、パッチを当てる必要もありません。
特徴は2つです。
- サーバーの管理が要らない(用意・拡張・保守はプロバイダー側)
- 実行した分だけ課金される(動いていない時間は払わない)
Azureでは Azure Functions が代表例です。詳しくは Azureのコンピューティング にまとめました。
【比較】まぎらわしい用語の整理
| 組み合わせ | 違い |
|---|---|
| CapEx と OpEx | 先にまとめて買うか、使った分を都度払うか |
| プライベートクラウド と オンプレミス | クラウドのしくみがあるか、単に自社の設備か |
| ハイブリッド と マルチクラウド | 手元+クラウドか、複数の事業者のクラウドか |
| サーバーレス | サーバーが無いのではなく、意識しなくてよい |
試験ではこう問われる
| 問われ方 | 判断のしかた |
|---|---|
| 「クラウドに置けばデータの保護は事業者の責任か」 | 違う(データは常に利用者の責任) |
| 「支出はどう変わるか」 | CapEx → OpEx |
| 「特定の組織が専有する」 | プライベートクラウド |
| 「手元とクラウドを組み合わせる」 | ハイブリッドクラウド |
| サーバーレスの意味 | サーバーを意識しなくてよい/実行した分だけ課金 |
| 「使わなければ払わなくてよいか」 | 従量課金なら止めれば止まる |
確認クイズ
読んだ直後に3問だけ。
オンプレミスのサーバーを自社で購入して設置するのに対し、クラウドの従量課金では支出の性質が変わります。この変化を表す言葉の組み合わせとして正しいものはどれですか。
1つ選んでください
クラウドモデルと共同責任モデルについて、次の各文が正しいかどうかを判定してください。
各文について「はい」か「いいえ」を選んでください(文ごとに1点)
1. プライベートクラウドは、特定の組織が専有して使うクラウド環境である。
2. 共同責任モデルでは、データの保護はクラウドプロバイダーの責任になる。
3. ハイブリッドクラウドでは、手元の環境とパブリッククラウドを組み合わせて使う。
サーバーレスの説明として、最も適切なものはどれですか。
1つ選んでください
まとめ
- クラウド=必要なときに、必要なだけ、他人の設備を借りるしくみ
- 共同責任モデル=層ごとに担当が分かれる。データとアカウント管理は常に利用者の責任
- パブリック/プライベート/ハイブリッド。プライベートクラウドとオンプレミスは別物
- 従量課金=使った分だけ。支出はCapEx から OpEx へ
- サーバーレス=サーバーが無いのではなく、意識しなくてよい
※本記事は、Microsoft公式のAZ-900学習ガイド(2026年7月20日現在のスキル)および Microsoft Learn の各サービス公式ドキュメントの記載(2026年8月6日確認)にもとづき、エンジニアKが作成しています。引用は公式の日本語表記のままです。仕様は変更されることがあります。最新情報は必ずMicrosoft公式サイトでご確認ください。本サイトはMicrosoft Corporationの公式サイトではありません。Microsoft、Azure、Microsoft Entra ID等は同社の商標です。

